一般社団法人 日本小児リウマチ学会

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CHILDHOOD MYOSITIS ASSESSMENT SCALE (CMAS)

 Childhood Myositis Assessment Scale (CMAS)は身体機能と持久力に重点を置いた小児特発性炎症性筋症の筋力評価指標です。急性期も含め、治療後の長期的な筋力の回復過程を評価できます。純粋な筋力評価であるMMTとは異なり、身体機能や持久力に焦点を当てており、軽微な筋力の変化も反映します。欧米では普及している指標であり、若年性皮膚筋炎などの診療で活用いただければと思います。

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1.頭部挙上
頭部挙上 被験者は腕を体幹につけて仰臥位の状態。
検者は、肩を動かさないように頭部を挙上し、そのままの姿勢でいるよう指示する。床から頭が上がった瞬間から、床に頭をつけるまでの時間を測定する(最大120秒)。
※サポートはせず、床と被験者の後頭部の間に指が入るくらいの隙間があれば挙上していると判断する。高さ(屈曲の角度)は維持する必要はない。
2.下肢挙上(高さ)
下肢挙上(高さ) 被験者は下肢を伸展させた仰臥位の状態。
検者は被検者の右下肢を持ち上げ、床から足長2つ分の高さを把握し、一旦下肢を休ませる。
検者は被検者に対して握り拳や玩具などで足長2つ分の高さを示し、その高さまで足を上げるよう指示する(臥位の状態でボールを蹴るような仕草)。
※骨盤が動かなければ膝を曲げてもよい。
頭部挙上

3.下肢挙上(時間)
下肢挙上(時間) 被験者は仰臥位の状態。
検者は、右下肢を伸展させたまま足長1つ分の高さまで上げて、可能な限り維持するように指示する(最大120秒)。足長1つ分の高さになったところから時間を計測する。膝を伸ばし続けられなくなった場合、床に踵がついた場合、120秒経った場合に終了とする。
※膝は曲げないように注意し、過度に足を上げようとした場合は止めさせる。
※骨盤は動かさない。
※下肢が下がってきても声かけをして元の高さに戻すよう頑張ってもらう。
4.仰臥位から腹臥位への寝返り
仰臥位から腹臥位への寝返り 被験者は仰臥位で、右肘関節を屈曲させ、右手首が顎の下にある状態。
検者は、右腕を床に押しつけるようにに寝返りをして、途中で右腕を体幹から引き抜き、最終的に腹臥位になった際に右腕が自由に動かせる状態になるよう指示する。
5.仰臥位から長坐位
仰臥位から長坐位 被験者は6パターンの上体起こしを行う。
  1. 仰向けから股関節・膝関節を伸展させた状態から手を大腿に置く。検者は被検者の足首を押さえ、被験者は手や肩、反動を使わずに上体を起こす。上体を起こす間、手は大腿に置いたままにして、ズボンなどは掴まない。肘は床につけてはいけない。
  2. 手を反対側の肩に載せ、胸の前で腕を交叉させた状態を保ったまま、同様に上体を起こす。肘は胸から離れてもよいが、手は肩に触れたままでなくてはならない。
  3. 頸もしくは後頭部の後ろで両手を組みながら上体を起こす。
  4. ①を行う際に検者が足首を押さえずに行う。
  5. ②を行う際に検者が足首を押さえずに行う。
  6. ③を行う際に検者が足首を押さえずに行う。
①?⑥でそれぞれ、脊柱が床と垂直になるまで、上体起こしが可能(長坐位)
6.仰臥位から端坐位
仰臥位から端坐位 被験者は検査台で仰臥位の状態。
検者は、端坐位(検査台から両下肢を落とす坐位)になるよう指示する。
※手や腕は必要に応じて自由に使って良い。
7.上肢挙上(高さ)
上肢挙上(高さ) 被験者は坐位の状態。
検者は、両肘を伸ばしたまま手首が頭上にくるように、両上肢を正面に挙上するように指示する(小さな子には玩具を頭上に差し出し、両手で掴むように指示する)。
8.上肢挙上(時間)
上肢挙上(時間) 被験者は坐位の状態。
検者は、両手首が可能な限り高くなるように両上肢を同時に挙げ(理想的には頭の真上)、その姿勢を可能な限り維持するように指示する(最大60秒間)。
手首が頭上に達したところから時間を測定し始め、頭上から下がった時点で計測終了とする。
※計測中は前腕が床と垂直になるよう促し、そこから前腕が傾いても手首が頭上にあれば計測を続ける。
※被験者は努力しなければならないが、肘を完全に伸ばすのは難しいことを知っておく。
※計測中、頸椎は自然な位置に保つ。
9.立位から床に座る
立位から床に座る 被検者は立位の状態。
検者は、被験者に支えがない状態で、その場に安全に座るように指示する。
※被検者がためらった際、検者は促してはならない。その場合、椅子を用意する。
10.腹臥位から四つ這い
腹臥位から四つ這い 被験者は腹臥位の状態。
  1. 検者は、四つ這いの体勢(両手と両膝に全体重がかかるよう)になるように指示する。
  2. 四つ這いになれたら、背筋を伸ばして真正面が見えるように顔部を挙上し(床面と顔が垂直に)、その姿勢を保持するよう指示する。
  3. そのまま前に(手と膝がすべて別の場所になるよう)進むよう指示する。
  4. すべて可能であれば、四つ這いの状態から片脚が床に水平になるよう伸展するよう指示する。
11.膝立ちから立ち上がり
膝立ちから立ち上がり 被験者は膝立ちから、床に手をついてもよいので、右膝を床に付けたまま、左膝関節と左股関節をともに90度屈曲させ、左足を正面に出した状態。
検者は、この姿勢から立位をとるように指示する。
※可能であれば手は膝や大腿、床にはつかないようにする。支えがないと難しい場合は椅子を用意する。
12.椅子からの立ち上がり
椅子からの立ち上がり 被検者は年齢相応なサイズ(下腿が床と垂直になる座り方で、大腿遠位部が近位部よりわずかに高くなる座面の高さ)のアームレスチェアに坐位となる。
検者は、起立するよう指示する。
※坐位の際の脚の広げ方は問わないが、爪先は正面を向いた状態とする(脚は外旋はさせない)。
※必要に応じて前屈してもよい。
13.踏み台へ登る
踏み台へ登る 被検者は立位となる。
被検者の足元に年齢相応な高さの踏み台 (足底から膝の高さの1/3くらいで、年長児であれば15-20cm程)を足元に置き、支えとするためのテーブルを横に置く。
検者は、テーブルや検者もしくは被検者自身の膝や大腿に手をつかないように、踏み台を昇るように指示する。
14.立位から床のペン拾い
立位から床のペン拾い 被験者は立位となる。被検者の足元にペンを置く。
検者は、前屈して床に置いたペンを拾い、元の立位に戻るよう指示する。
計算:



Lovell DJ, Lindsley CB, Rennebohm RM, et al. Arthritis Rheum. 1999; 42(10):2213-2219.
川邊智宏, 宮前多佳子 他. 小児リウマチ 2020; 11:9-16.よりWeb様に一部改変